こんにちは、kuronaです。
今回は、2026年1月15日に行われた第84期順位戦C級2組8回戦、今泉健司五段と井出隼平五段の対局について考えていきたいと思います。
戦型は、先手・今泉五段の「居飛車穴熊」に対し、後手・井出五段が「四間飛車+銀冠」で対抗する構図となりました。 それでは、私が特に気になった3つの場面をピックアップして、自分なりに深掘りしてみます。
36手目:△4五歩

第一感
図は、後手が△4五歩と角道を開けた局面です。 対穴熊の定石として「穴熊が完成する前に動く」という鉄則がありますが、この瞬間の後手は銀冠へ組み替える途中で、金銀の連携がまだバラバラ。正直、「なぜここで仕掛けたんだろう?」と疑問に思いました。私なら、せめて△7二金と上がって形を整えてから開戦したいところですが……。
考えてみると
ここで開戦した場合、もし△7七角成となれば、先手は▲同桂と取る一手。すると先手は穴熊をこれ以上固めるのが難しくなります。対して後手は、△7二金や△6二金寄の2手が入れば一気に陣形が引き締まりますよね。 つまり、このタイミングでの開戦は、先手の完成を阻害できる分、後手に得があると判断したのかもしれません。
67手目:▲4七歩

第一感
△7六歩の叩きに対し、今泉五段が▲4七歩とついた場面。 ここは普通に▲7六同金ではダメだったのでしょうか?▲4七歩とつくと、次に△5六銀と出られた際、△4七銀成が先手で残ってしまいますし、7七の桂取りも残ったままです。4六の地点は角が2枚利いているので、すぐに△4六銀と角をいじめられる心配もなさそうです。わざわざ▲4七歩が必要だったのか、少し不思議に感じました。
考えてみると
先手は▲7六同金とした後の△5六銀を相当嫌ったのかもしれませんね。△6七銀不成の角金両取りを見せられ、▲6六金と受けても再度△7六歩と叩かれる……これでは先手だけが延々と受ける展開になってしまいます。▲4七歩と打つことで、次に▲4六歩と突き出す反撃の余地を作り、攻めの権利を確保しようとしたのではないでしょうか。
投了図:△9六歩まで

第一感
最後は後手の△9六歩を見て、先手の今泉五段が投了した局面です。 盤面を見ると、先手は5九の飛車がよく利いていて、まだすぐには詰まないように見えました。たとえば▲9一馬と引いて、▲7三歩成の攻めを見せたらどうなるんだろう?と。
考えてみると
しかし、よく見ると先手側から後手玉を捕まえるのは至難の業です。▲7三歩成から▲7二とと迫っても後手玉は広く、上部(1〜5筋)へスルスルと逃げられてしまいます。 対して先手玉は、次に△9七歩成とされると受けが難しく、それを防ごうと▲9一馬などと指せば、今度は△7六桂から金銀を剥がされる順が待っています。6七に居座る「馬」の存在感も大きく、逃げ道も封鎖されている状態。 粘るよりも「勝負あり」と認めたのだと思いました。
感想
本対局では、後手の井出五段の受けが非常に参考になりました。私ならうっかり受け間違えてしまいそうな局面でも、しっかりと勝ち切っている姿はさすがプロですね。 記事内では触れきれませんでしたが、特に72手目の「△7一金打」という受けには驚きました。並べている最中は、数手後までその意味が全く分からなかったのですが、読みの深さに圧倒されました。いつか私も、あんな風に意図の詰まった一手を指せるようになりたいと思いました。
参考資料等
・棋譜検索:将棋DB2
・図面作成:Shogipic


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